常識と関係性

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海外に行くと日本では常識なことがその国では非常識(逆もまた然り)であることを感じることがよくあります。

最近行った香港の電車は、車内での飲食が禁じられています。違反すると罰金が最高2000HK$(約3万円)取られるそうです。日本では車内での飲食は行儀が悪いと他の乗客に思われる程度で罰金までは取られません。

一方、日本では「車内での携帯電話の通話はご遠慮ください」とやかましいほどにアナウンスや表示がされています。ところが、香港の車内で携帯電話で通話することはなんら咎められません。そのため、香港の車内では乗客が思い思いに携帯電話で通話していて、地下鉄ではトンネル内の騒音で聞き取りづらいこともあり、かなり大きな声(怒鳴っているのかと感じる程)で話している人が何人もいます。うるさいと周りが注意することもなければ、気にしている様子すらないようにも見えました。このように車内での携帯電話での通話は、日本では非常識、香港では常識な訳です。

この例はあまり大したことではないように感じるかもしれませんが、いつの間にか身に付けてしまった常識、そしてそのことに気が付きもしない常識を私たちはたくさん身に付けています。更に、その身につけた常識に従って私達は無意識に選択したり行動したりしています。

常識は私達の持つ信念(Belief)の一部であり、信念はパフォーマンスに大きく影響する要素の内の一つです。望む結果(ゴール)が手に入らないという場合、自分の持つ常識を疑って、ゴール達成に不要な常識は排除し、ゴール達成に必要な常識に変えることが重要になります。

ある常識は単独で出来たものではなく、別の(大抵もっと大きな)常識から生まれています。常識もまた様々な関係性の上に出来上がっています。そのため、単に一つの常識だけを取り上げて、良い悪いと論じてもあまり意味をなしません。自分が気づいた常識から、更にその常識はどのような関係性から生まれたのかまで見ていく必要があるでしょう。そうしないと、パフォーマンスに大きな影響を与えている常識になかなか気づけないかもしれません。

とはいえ、私達が自分の持つ常識を認識に上げるのは容易なことではないことも事実です。常識は私達が無意識に持っているものなのでスコトマ(認知的な盲点)になりやすいのです。海外へ行き、自分の持つ常識がその国では非常識であるような場面に直面すれば意識に上げることも可能だと思います。でも自分の常識を変えるほどにはならならず、日本に帰ればまた元の常識のままに生活し、何も生活は変わらないということがほとんどでしょう(トリビア的な知識は増えるかもしれませんが)。それは関係性まで見ていないからだと思います。

何か自分の持つ常識に気づいたら、どうしてそういう常識を自分が持つに至ったのか、その常識は別のどんな常識から生まれたのかなどを関係性の観点から見たり調べてみるようにしましょう。

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