希少な蜂蜜を戴きました。そのうちの一つは「レザーウッド」の蜂蜜です。
私は昨年秋頃から精製された白砂糖を極力取らないようにしてから、蜂蜜の重要度が上がりました。
それまでは蜂蜜には興味がほとんど無かったため、目にもあまり入ってこなかったのですが、今は蜂蜜を見かけると意識が向くようになっています。
とは言え、まだそれほど蜂蜜自体に詳しいというわけではありません。
そのため「レザーウッド」の蜂蜜と聞いても、それが何かは知りませんでしたし、どんな味がするかも想像ができませんでした。
前知識のないまま「LEATHER WOOD」のラベルの貼られた瓶の蓋を開け、スプーンですくいあげ、口に含みました。
口の中で蜜が溶け始めると、芳醇で高貴な香りとともに複雑な味わいが口から鼻そして身体全体に広がっていきました。
またまた私の信念を覆してしまうものに出会ってしまったようです。
これは今まで知っていた蜂蜜とは全く別物であることが直ぐに分かりました。
「LEATHER WOOD」は「ハチミツの香水」と呼ばれていることを舐めた後に知りましたが、まさにエレガントな香水のようです。
興味を持ち調べてみると、レザーウッドとは、オーストラリアの南にあるタスマニア島の西部にしか育たない木のようです。
更には、レザーウッドは、長い年月をかけてゆっくり成長するため、花をつけるまでに70年以上、蜜を出すまでに100年はかかる植物だそうです。
あの複雑な味わいは、長い歳月を掛けて育っているからこそのような気がしました。
そのためか「LEATHER WOOD」を食べたあとの余韻はかなり長く続きます。
そうやって100年単位でやっと花をつけるため、その花から採蜜を許可された養蜂家は5人しかいないそうです。
その希少性ゆえに幻のハチミツと呼ばれるのも分かるような気がします。
そして、ミツバチはその一生で取れる蜜は、わずかスプーン1杯程度とのことです。
そう考えると、私が先ほど舐めたハチミツには、蜜蜂の一生が詰まっているような気がして、ハチミツから命の尊ささえ感じられました。
100年掛けて花を付ける樹、一生を掛けて採取した蜜。
そして、こんな凄い蜂蜜が取れるタスマニアとはどんなところだろうかと、タスマニアについても調べ始めてみました。そこには数億年の時を感じられる情報がありました。
一杯の蜂蜜から、信念が覆されるとともに、私のイマジネーションの限界がどんどん広がっていっているのを感じています。