未収録原稿【エピソード】部屋の中で煌々と光るネオン

『マインドの教科書』の構成の都合上掲載できなかった「コラム」と「エピソード」の原稿があります。そちらを順次掲載していきたいと思います。『マインドの教科書』と共にお読みくださればと思います。

以下に掲載するのは、その中の9つ目のエピソードです。


エピソード「部屋の中で煌々と光るネオン」

ルー・タイスが亡くなった1ヶ月後の2012年5月にシアトルにあるTPI本部を訪れました。

訪問の目的は、某国の大統領がTPI本部を表敬訪問するレセプションパーティーに参加するためと、その数日後に開催される『Head Coach』というコーチングプログラムのファシリテーター&コーチのトレーニングを受けるためでした。
そのトレーニング期間中は、本部の建物内にある部屋で寝泊まりをさせてもらいました。

TPIの本部建物には、レセプションパーティーができるような豪華な部屋から、セミナーができる部屋、役員やスタッフがいる執務室、ルーの書斎や来賓用のベットルームなどがありました。
TPIEプログラムを苫米地博士とルー・タイスが一緒に作ったキッチンもありました(現在はTPI本部は移転しています)。

その大きな本部の建物内で、夜には私一人しかおらず、電気を消すと、窓からはピュージェット湾を挟んで対岸に見えるダウンタウンの夜景がとても綺麗でした。

そして、真っ暗な建物内では、ある階の一角が赤く染まっていました。そして、ジージーという音も聞こえてきました。その一角へ行くと、なんと建物内で大きな赤いネオンが煌々と光っていたのです。

ルー・タイスが様々なところから贈られた感謝状やメダルなどが飾られていたガラス戸棚の上の壁にそのネオンは取り付けられていました。幅は2.5mぐらいでしょう。通常ネオンと言うと外に飾られているイメージがあったので、部屋の中の壁に取り付けられていることにまず驚きました。

そのネオンにはこう書かれていました。

I manage my own mind. (私は自分自身のマインドを上手に使っている)

ネオンにしてしまうぐらいですから、ルーのとても重要なアファメーションなのだろうと思って、暗闇の中、毎日のようにそのネオンの前に立ち、その文章を目に焼き付けました。

そして、これこそが成功の鍵であり、同時にコーチにとって最も重要なことなのだと感じました。

私たちは、誰かの指導的な立場にある時、例えば親や先生や監督や上司やコーチである時、相手を良くしようと、ついつい誰かのマインドを管理しようとしてしまいます。

でも、相手を成功に導くのは、相手のマインドを管理することではなく、自分自身のマインドを管理し、上手に扱うことです。

また、自分自身のマインドを誰かに管理させてしまっている人もいます。それでは、自分自身の人生を歩むことができなくなります。

自分自身が成功するのも、他者の成功を助けるもの、全ては「I manage my own mind.」が鍵になるのでしょう。これが極意なのだと理解しました。

ちなみに、後に奥様のダイアン・タイスからお聞きしたところ、それはルーの誕生日プレゼントとして、ルーが大切にしていた言葉をネオンにして、ダイアンが贈ったものだそうです。


 

『マインドの教科書』
田島大輔著
苫米地英人監修
開拓社

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