地上にある物質は全て”原子”から構成されています。原子であるAtomという言葉は「(それ以上は)分割できないもの」というギリシャ語を語源としていますが、近代以降は科学の発展とともにそれ以上に構造的に分割できることが分かってきました。
また、原子の種類は、水素-H、ヘリウム-He、炭素-C、酸素-O、鉄-Feなどの元素記号とともに元素の周期表で理科の授業に習ったのを覚えている人も多いと思います。
私も高校の頃に周期表の4段目まで丸暗記させる理科の先生がいたため、20ぐらいまでは今でも順番に言えます。
私たち人間も例外ではなくその原子が集まって身体が構成されています。
普段はあまり意識していませんが、水素・酸素・炭素・窒素などの原子(元素)が集まって身体ができていることは、知識があればそういうものだよねと理解できると思います。
でも、その原子が一体どこから来たのかまでを想像することは殆どないような気がします。
私は高校で原子の構造や元素の周期表などを学んでいた時には、それがどこから来たものかまでは想像を膨らませていなかったように思います。
『僕らは星のかけら』という本は、そんな私たちの身体や地球上の物質を構成する原子が一体どこから来たかを、「元素の起源」というテーマを通して、古代ギリシャの原子仮説から、ビックバンや超新星爆発という現代宇宙論までの歴史をなぞりながら、面白く解き明かしてくれます。
もちろん、宇宙論には様々な仮説があるので、この本で書かれていることが、科学の進展とともに後の時代にまた違った解釈となる可能性もありますが、その対象に対して知識を得ることで興味が湧くということが大事だと思います。
高校生に元素の周期表を丸暗記させることでは、それ以上の興味は持ちようもありませんし、知的好奇心を刺激することもないでしょう。
興味を持たなければ、知識も増えませんし、知識が無ければ抽象度も上げようがありません。
『僕らは星のかけら』はそんな私たちを身体を構成する原子の起源を探ることで、知的好奇心を刺激し、今までに無かった想像を膨らませてくれることでしょう。
そして、時空を超えたものと私たちの関係性を意識し、抽象度を上げていくきっかけにも良い本だと感じました。