ヘーヴィーズに滞在したのは他の目的もありました。それは、近郊のケストヘイに立ち寄ることでした。ケストヘイには、クロアチアから移住した貴族フェシュテティッチ家によって18世紀半ばに建造された宮殿があります。
バロック様式のその宮殿と同じ敷地内には、かつての馬小屋を利用した「馬車博物館」があり、そこを見学するのがもう一つの目的でした。
「馬車博物館」は、数十もの様々な用途の馬車が一堂に会する見応えのある博物館です。
馬車好きにはたまらない博物館だと思いますが、私達コーチしか見学者がいなかったところを見ると、現在では多くの人にとって馬車は興味の対象ではないのでしょう。
展示されていた馬車全部は撮りきれていませんが、かなりの数の写真になったので、動画として編集しました(4分程になりますのでお時間のあるときにどうぞ)。
動画にはブラームスの「ハンガリー舞曲」の1番と5番の音楽を被せてあります。
「ハンガリー舞曲」は、ブラームスがハンガリーのジプシー(ロマ)音楽に基づいて編曲した全21曲からなる舞曲集ですが、日本人でもどこかで聞いたことがある馴染みのある曲が多く含まれています。
この博物館には19世紀後半から20世紀初めにかけての馬車が展示されていましたが、その多様さに驚かされました。
この博物館にあるだけでも相当な数でしたが、それから推測するに、コチ村で15世紀に初めてコーチが作られてからの数世紀の間に、世界各国で作られた馬車の種類は、膨大な数に上ることでしょう。
馬車の役割は、出発地から目的地に物や人を運ぶ、というシンプルなものです。
しかし、その役割を果たすための手段や方法である形状や素材などは、使われる目的や環境、技術力などによって多様な姿となって現れることが体感できる博物館でした。
コーチングにおける、コーチの役割は、クライアントを現在地から目的地(ゴール)に運ぶこと(ゴール設定やゴール達成のためのマインドの使い方を教えること)です。
しかし、その役割を果たすためのコーチは、誰がやっても同じというわけではありません。
様々なバリエーションの馬車を博物館で見ることで、自分が現在一体どんな馬車(コーチ)であり、また未来にどんなコーチになりたいのかを振り返る良い機会となりました。