先日点字名刺を作成した記事を書いたところ早速たくさんの反響を頂きました。お会いした方から私の点字名刺を欲しいと言って頂いたり、自らも作成するために準備を始めたとか、メッセージなども頂きました。ありがとうございます。
ある方と点字名刺のメッセージをやり取りさせて頂いた時に、ふっと思い出した本がありその本をご紹介させて頂きました。
私もそれまですっかりその本の存在を忘れていたのですが、メッセージのやり取りがトリガーとなって突然思い出すことができました。
素晴らしく感銘を受けた本だったので、再び思い出し意識に上がったことをとても嬉しく感じています。
その本は、「塙保己一とともに」という江戸時代の国学者である塙保己一さんについて書かれた本です。
塙 保己一(はなわ ほきいち)さんは、幼少期に病気が原因で失明されました。
知的好奇心が旺盛で、目が見えなくなってからも和尚さんなどに話をしてもらい、更にはその話を一言一句違わずに語ることができたほど物覚えが良かったそうです。
保己一さんは江戸に出て学問の道に進まれることを望みますが、目の見えない方が学問を目指すというのは今の時代以上に難しいことであったはずで、実際にたくさんの困難が待ち受けていました。
それでも保己一さんはその道に進むことを諦めませんでした。
そして、保己一さん自身は書物を見ることはできないので、人が音読したものを暗記して学問を進めました。
遂には、抜群の記憶力を活かして「群書類従」という、古代から江戸時代初期までに成った史書や文学作品、計1273種を収めた叢書(そうしょ)の編纂を成し遂げました。
なんと40年の歳月をかけて日本の千年以上の大文献集を作り上げたのです。
どんな困難に遭おうとも自身のゴールを諦めずに、それを成し遂げた保己一さんのお話は私達に勇気と希望を与えてくれます。
もちろんこの本にはコーチングの用語なんてでてきませんが、最高のコーチングの本の一つではないかとも思っています。
印象に残っているエピソードをご紹介すると、塙保己一さんが和学講談所で『源氏物語』の講義をしているときに、風が吹いて、ろうそくの火が消えたことがありました。
保己一さんは(目が見えないので)それとは知らず講義を続けましたが、弟子たちが(真っ暗になり)慌てたところ、保己一さんが「目あきというのは不自由なものじゃ」と冗談を言ったといいます。
ヘレン・ケラーも「塙保己一を手本にしろ」と母親から言われて育てられたそうです。
私もだいぶ大人になってから塙保己一さんのことを知りましたが、海外では凄い日本人だとして知られているのに、何故か日本ではあまり知られていないのが不思議です。
塙保己一さんについて書かれたこの本を読むことで、今は見えていない何かが見えるはずです。
是非皆さんにも読んで頂きたく、この本をご紹介させて頂けることを嬉しく思います。