事務所で使っている掃除用具は最新鋭の電気掃除機。ではなく「棕櫚箒(シュロホウキ)」。棕櫚の木の鬼毛を使って職人さんが一本一本手巻きで作った9玉の箒です。
はじめてこの箒を使って掃いてみたところ、今までのホウキのイメージが一新されました。
ホウキを使って掃除をした記憶といえば、学校で硬くて毛がバラバラのホウキを使ってザッ、ザッとゴミを飛ばすように掃いたものでした。
でも棕櫚の箒は、ゴミを掃くのではく、床を撫でるようにして集めていきます。
箒の柄を持って、ストンと床に箒を落とし、床を撫でていきます。
棕櫚の箒は、床を撫でると優しく心地の良い音がします。
更に棕櫚の油が出るのでフローリングだと自然にワックスがけしたように掃けば掃くほど床がピカピカしてきます。
ホコリが舞わないようにリラックスして撫でるように集中して掃いていると、その心地よい音とも相まって自然と瞑想状態になってきます。
ホコリは集めようと力を入れて掃けば掃くほど、逃げていきます。
他人のマインドも同じように、力を入れて変えよう変えようとすればするほど抵抗するか、逃げていきます。
棕櫚の箒を使った掃除は、自然とコーチングにおけるトレーニングにもなっています。
棕櫚箒は箒としては値段が高く感じられるかもしれませんが、上手に使っていれば20〜30年は持つと言われています。
そう考えれば決して高くなく、他に得られる効果も併せて考えると、むしろ安いぐらいかなと感じます。
電気掃除機は確かに便利ですが、便利だがゆえに失われてしまったものもあります。
棕櫚箒で掃いていると、なんだか豊かな時間を過ごしているような感覚が私には感じられます。