セミナーでは事前には想定していなかったことが何かしら起きることが多いものです。
昨日もその一つを紹介しました。
それをトラブルとしてネガティブに捉えることもできますが、私はそのような何かしら予想できていなかったことが起きるライブ感もまた好きです。
かといって、事前想定の精度を高めることは必要なので、そのような経験を活かして「次はこうしよう」と次回以降に活かすように心掛けています。
先日もセミナーで予想していなかったことが起きました。
複数の参加者の方に一斉にホワイトボードに文章を書いてもらいました。
すると、書いている途中で「油性マジックだ!」という声が聞こえてきました。
何と、手にしたペンは、ホワイトボードマーカーではなく、油性マジックであったようです。
たぶん、名札を書くためにテーブルに置かれていた油性マジックが紛れ込んでしまったようです。
パッと見は分からないですし、まさか油性マジックがあるとは疑いもしなかったはずです(思い込みによるスコトーマです)。
もちろん参加者の方に非はありません。
むしろセミナー主催側がそのようなことが起きないように配慮すべきことだと思いますが、主催側もそこまでは想定しきれないことが多いでしょう(次に活かすことはできます)。
ホワイトボード一面に複数の参加者の方が書かれた文字を消していくと、油性マジックで書かれた文章だけが残ってしまいました。
セミナー進行上、そこで中断はできないので、そのまま残置してしばらくセミナーが続けられました。
でも、そのまま残っていたら参加者の方もその文字が目に入って、気になって集中できなくなるかもしれません。
セミナー事務局が、次の休憩時間に消そうと試みていましたが、簡単には消えてくれません。
そこで私の出番かなと思い、おもむろにホワイトボードに向かいました。
たぶん油性マジックを消すとなると、エタノールや洗剤や石鹸などが必要だと思うかもしれませんが、ホワイトボードの場合はそれが無くても消すことができます。
なんと、ホワイトボードマーカーとホワイトボード用イレーザーだけで消せます。
そうです。元々あるものだけで消せるのです。
そして消し方も簡単です。
油性マジックで書かれた文字を上からホワイトボードマーカーでなぞって、イレーザーで消す。それを何度か繰り返せば油性マジックで書かれた文字は消えてしまいます。
まるでマジックのようですね。
ホワイトボードマーカーは、ホワイドボードに文字などを書く機能があります(というよりその機能を果たすものを商品開発しているといった方が良いでしょうか)。
そして、それを使用する人も「ホワイドボードマーカー=書く機能」として認識しているはずです。
ホワイドボードマーカーに「消す機能」があると思って使っている人はほとんどいないでしょう。
でも、今回のケースでは「ホワイドボードマーカー=消す機能」も持たせることができました。
特殊なケースではありますが、モノにはこういった隠れて認識されていない(スコトーマになっている)機能がたくさんあります。
予想していなかったケースが発生した場合、大抵それにピッタリマッチすると認識されている機能のモノが事前に用意されていることは稀です。
ですから、そういった時には、今あるものに別の機能を持たせることができないかという、機転を効かせる必要がでてきます。
私が予想していなかった事象が起きることが好きなのは、そういったスコトーマに隠れた機能を発見できるチャンスが生まれるからかもしれません。
想定内の出来事の中では、想定内の機能しか認識できないものです。