『マインドの教科書』の構成の都合上掲載できなかった「コラム」と「エピソード」の原稿があります。そちらを順次掲載していきたいと思います。『マインドの教科書』と共にお読みくださればと思います。
以下に掲載するのは、その中の5つ目のコラムです。
コラム「コーチングとカウンセリングの違い」
カウンセリングにも様々な定義と手法がありますが、ここではコーチングとの違いを端的に示すための例を挙げたいと思います。
まずカウンセリングでは、相談者(クライアント)が、何かしらの原因によって、悩みや問題が生じている状態から、その悩みや問題が無くなった状態へと戻すために、カウンセラーが援助を行います。
例えば、鬱になり会社に行けなくなった人がいるとします。カウンセリングにより、以前のように会社に出社して仕事をしていた状態に戻したいとしたら、カウンセラーが心理的・精神的なアドバイスを与えるなどの援助を行うことでその問題の解決をサポートします。
ここで、問題発生前の状態を0(ゼロ)だとすると、鬱になり会社に行けなくなってしまった状態は−(マイナス)の状態といえます。つまり、そのマイナスの状態から、問題が解決されたゼロの状態に戻すことが、このケースでのカウンセリングが目指すことといえます。
医療でも同じようなケースがあるでしょう。例えば、ケガをした状態をマイナスとすれば、ケガを治して元々の状態0(ゼロ)に戻す、または元にまでは戻せなくても極力ケガをする前の状態に近づけることが求められます。
一方、コーチングでは、問題が解決された元々の状態(ゼロ)に戻すことを目指すのではなく、どんな状態であっても、クライアントが今までも考えたことのなかったようなゴールを見つけられるように、コーチはマインドの上手な使い方を教えます。
その結果、マイナスの状態であった人は、元のゼロの状態に 戻ることもあるでしょうが、それは単なる通過点となります。つまり、コーチングは、マイナスでも、ゼロでも、プラスでも、その人がどこの状態であっても、今まで考えもしなかったプラスの方向に持っていくイメージです。
問題の直接的な解決を目指さなくても、その問題は今までの何かしらの自分が持っていたゴールから生まれていることがほとんどですから、ゴールそのものを変更することによって、問題が問題でなくなってしまうことがおきえます。
このようにコーチングでは、元の状態に戻るという視点よりも、起きている問題よりも抽象度の高い視点でのマインドの使い方ができるようになることを目指すします。そのため、コーチングを受けた結果、新たな夢やゴールが見つかり、それが叶ってしまったということが起きるのです。
コーチングの現場では、問題が発生していた時の状態から考えると、奇跡だと思うようなことが次々と起きることが多くあります。
なぜ、そのような奇跡が起きるのかというと、人間は本来そういう生き物であるということです。人間、そしてマインドそのものがすでに奇跡なのです。
つまり、コーチングというシステムが先にあるのではなく、人間が先にあり、人間の持つ潜在的な能力を上手に引っ張り出すことができる技術がコーチングと捉えると良いでしょう。
『マインドの教科書』
田島大輔著
苫米地英人監修
開拓社
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