『マインドの教科書』の構成の都合上掲載できなかった「コラム」と「エピソード」の原稿があります。そちらを順次掲載していきたいと思います。『マインドの教科書』と共にお読みくださればと思います。
以下に掲載するのは、その中6つ目のコラムです。
コラム「コーチングとコンサルティングの違い」
ここでは、クライアントが企業などの組織であった場合に、その組織の問題の解決に対して、コンサルティングとコーチングそれぞれのアプローチの違いを説明したいと思います。
まず、コンサルティングでは、コンサルタントがその組織が抱えている経営・事業戦略上の問題の発見や、その問題を解決するためのプランニングやプラン遂行を担います。
コンサルタントと一括にいっても、コンサルタントが全て同じ業務をしているのではなく、解決する問題のカテゴリによって細分化されています。
例えば、経営をサポートする戦略系コンサルタント、人事に関する業務をサポートする人事系コンサルタント、組織の問題解決のためのシステム設計やシステム運用指導を行うIT系コンサルタント、資金調達やM&A案件などの事業戦略を提案する金融系コンサルタントなどのように、扱う問題や専門性などによってカテゴリに分かれており、それぞれのコンサルタントが行う業務内容は異なります。
コンサルティングでは、それぞれの業界や業務内容に精通したコンサルタントが、クライアントに代わって問題を洗い出し、問題解決の方法を提案し、時にはその遂行までを担います。
次に、コーチングですが、コーチは、コンサルタントのようにクライアントに代わって問題発見や問題解決のプランニング、プラン遂行などは行ないません。
組織が抱える問題には様々なものがあります。しかし、その問題がどのようなものであったとしても、その背景には組織の構成員のマインドの使い方があるというのが、コーチングの前提にある考え方です。
そのため、仮に問題の原因が構造的・物理的なものであるように見えたとしても、その背後には組織の構成員のマインドの使い方に原因があると捉え、そのマインドの使い方の部分を扱います。
このマインドの使い方には、組織のゴール設定、組織と構成員とのゴールの共有、コーポレート・トーク(組織内で交わされる会話)、設定した組織のゴールに対するコレクティブ・エフィカシー(組織がゴールを達成できるという自己評価)などが含まれます。
依頼されたコーチは、組織の構成員にコーチングをすることによって、構成員がマインドを上手に使えるようにしていきます。
その結果、組織の構成員は問題よりも高い視点を持てるようになり、問題の背後にあった根本原因を自らが発見できるようになっていきます。更には、その発見した根本原因を解決でき、高い生産性を出せるマインドを作っていくのがコーチングのアプローチです。
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