未収録原稿【コラム】3つの推論方法とコーチング

『マインドの教科書』の構成の都合上掲載できなかった「コラム」と「エピソード」の原稿があります。そちらを順次掲載していきたいと思います。『マインドの教科書』と共にお読みくださればと思います。

以下に掲載するのは、その中7つ目のコラムです。


コラム「3つの推論方法(ディダクション・インダクション・アブダクション)とコーチング」

「ゴールが先、方法は後」。この考え方は、ルー・タイスが作り上げたコーチング理論の根幹にあるものです。
まずゴールを設定し、それから、そのゴールを達成する方法を発明していくやり方です。英語では“Invent on the way”と表現します。

ここに3つの推論方法があります。
それは「インダクション(帰納推論)」「ディダクション(演繹推論)」「アブダクション(仮説推論)」です。それらの推論方法とコーチングとの関係を見ていきましょう。

はじめに「インダクション(帰納推論)」とは、具体的な事例から一般化する推論方法です。例えば、「暑い日にアイスがよく売れた」「他の暑い日にもアイスがよく売れた」という事実から「気温の高い日にはアイスが良く売れる」と推論することになります。

次に「ディダクション(演繹推論)」とは、一般的な知識や普遍的な知識からより具体的な知識を導く推論方法で、三段論法がこれにあたります。三段論法とは、「人は二足歩行である」、そして「私は人である」という二つの前提から「私は二足歩行である」という結論を導き出すやり方です。

そして、3つ目の「アブダクション(仮説推論)」とは、理解できない物事を理解するために仮説を立てて推論する考え方のことです。
「インダクション」と「ディダクション」では、既にある事象から結論を導き出しますが、「アブダクション」では結論がまず先にあり、その結論を理解するために仮定を使って新たな結論を導き出すのです。「ゴールが先、方法は後」というのは、この「アブダクション(仮説推論)」的な考え方によるものです。

「インダクション」「ディダクション」的なアプローチは、未来を作り上げために、過去の証拠を探し求める方法です。
一方、「アブダクション」的なアプローチは、まずゴールを設定してから、証拠を見つけていく方法です。まだ誰も証拠を作っていないのであれば、ゴールを設定した本人がその証拠を作っていく、つまり新しい現実を作っていけばよいのです。

ゴールを先に設定し、方法は後から作っていくやり方は、成長を大幅に加速させる方法となります。しかし、「インダクション」「ディダクション」的なやり方では、新しい方法が生まれないので、ほんの少しずつしか成長することが出来ないのです。


 

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田島大輔著
苫米地英人監修
開拓社

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