大勢の前で講義や司会などをする時には、聴衆が聞き取りやすいように通常マイクを使って話をします。以前に比べて最近はマイクにコードが付いていないワイヤレスマイクが用意されていることが多いです。
コードが付いていないとコードの取り回しに気を使わなくて良く、動く範囲が制限されないので、話すことに集中しやすくて便利だなと感じています。
ワイヤレスマイクには、頭に掛けるヘッドセットのタイプと手持ちのハンドタイプなどがありますが、ヘッドセットのタイプだと両手が空くのでホワイトボードに字を書くときなどはとても便利です。
そのため最近はヘッドセットのワイヤレスマイクを使って講義をすることが多いです。
先週末のコーチング合宿では、久しぶりに手持ちのハンドタイプのワイヤレスマイクを使って話をしました。
話している途中で何度も音が途切れるので、何でだろうと思っていたら、マイクのしっぽの部分を持っているからだとの指摘を頂きました。
話している時はスコトマ(盲点)になり気づいていませんでしたが、しっぽの部分に電波を送信する部分があります。
そのため、マイクのしっぽを握ってしまうと、声が入らなくなったり、途切れたり、雑音が入ってしまいます。
どうも私はマイクのしっぽの方を持つ癖があるようです。
そのため、指摘された後に、マイクの上や真ん中の方を持つようにしていも、話している途中でいつの間にかしっぽの方に手がいっていました。
このような癖を、コーチングではハビット(Habit(s))と言います。
日本語では、無意識の行動や習慣、癖などと訳されます。
そして、私たちの持つハビットは、パフォーマンスに直接的に影響を与える重要な要素の一つです。
(今回のケースであれば、スピーカーから私の声が出なければ聴衆は聞き取りづらく、私にとってのパフォーマンスは大きく低下したことになります)
ハビットは、繰り返しその行動を行うことで身に付きます。
一度身に付くと、(無意識に)自動的に、一定に、そして容易に実行される行動のパターンとなります。
ハビットが無ければ、自転車や自動車などを運転する時に、意識的に全ての動作を行わなくてはいけないので、ハビットは行動を効率化、省力化するためには便利なものです(運転を覚えたての頃は意識的に反復して無意識にできるようにしたと思います)。
ただ便利な一方で、それ以外の行動が制限されるので、今までとは違うパフォーマンスを出そうとする場合には、厄介になります。
今回のワイヤレスハンドマイクでは、自身の声がスピーカーから出ないというフィードバックにより、それに気づき、修正することができました。
でも通常は、このような分かりやすいフィードバックの形では、自身の持つハビットには気づかないと思います。
コーチはそのようなクライアントが無意識に持つハビットに気付かせ、そしてそれをゴールにとって必要なハビットに替えていくための役割も担います。
直接的にこういうハビットを持っているよねと言う場合もありますが、理想的には、それを言わずにゴール達成を妨げるハビットをクライアント自身に気付かせるか、いつの間にかゴール達成に必要なハビットにとって替わっているという状態を作り上げることが大事です。
そのようにコーチがクライアントのハビットに気付かせ、替えていけるようにするには、まずコーチ自身が自分の持つハビットが何なのかを日頃から観察して、必要に応じてゴール達成に必要なハビットへと替えていくというハビットを持つことが重要です。