海外へ旅に出ると様々な予期せぬ出来事を体験することになります。
何も起きない旅はむしろ楽しくなく、トラブルが起きることも含めて旅の一部と言えるのではないでしょうか。
トラブルと一言にいっても、全く予期せぬ出来事から、他人から聞いたり何かで読んだりと知識としては知っていたけど自分の身に降りかかるとは予期していなかったものまで色々あります。
今回の旅でもさっそく同行者が(何も問題がなかったにもかかわらず)アメリカ入国時に1時間近く足止めをされたり、予約していたレンタカーが故障していたらしく他の車を手配するのに長時間待たされたりと幾つかのトラブルがありました。
道中に同行者達と過去の旅の思い出の話していても、出てくる話題はこんな大変なことを体験したというトラブルの話だったりします。
それらのトラブルも旅の良き思い出として語られることが多いですし、話を聞いていても「順調に旅をしまして特に何も無かったです。終わり。」というよりは話が盛り上がるでしょう。
質問する側も無意識に自分がトラブルを避けるために役立てようとそういった話題を聞いたりします。
私も前回L.A.に来た時の話をすれば、そういったトラブルの話がまず思い出されますし、順調に何ごとも無かったことは聞かれるまでは意識にも上ってきません。
旅の思い出で、トラブルの話が真っ先に出てくるのは、それだけ私たちの記憶に強く残っているからです。
特にネガティブな強い感情を伴った体験は、失敗から学習する脳の仕組みから記憶に残りやすくできています。
強い感情を伴った記憶をコーチングでは’情動記憶(emotional memory, emotional history)’と言いますが、この情動記憶が私たちの未来の行動や選択を無意識に制限してしまいます。
もちろん生死に関わることやスリに遭うなどのトラブルは、できれば避けたいですし、自分の体験や他人から聞く体験談を参考に、未来にそれを避けられるという意味で重要なものともなります。
一方で、もう二度と同じ状況は訪れないにもかかわらず、それらのトラブルの情動記憶が、未来の行動や選択を無意識に制限してしまっていることには、本人はほとんど気づかないものです。
それらネガティブな情動記憶にどのように対抗して、未来に自分の新しい可能性を拓いていけばいいのかは、まさにコーチングで学ぶ主要テーマの一つになっています。
ここでは長くなるのでそのカラクリや方法論の詳細は述べませんが、既にコーチングに触れたことがある方は、未来にボジティブな感情(嬉しい、楽しい、気持ちいい、誇らしい、清々しいなど)を貼り付けるという方法を学んだことがあると思います。
この方法で問題となるのは、そのようなポジティブな感情を喚起するための体験がなかなか思い出せないことがあることです。
そのような方におすすめなのは旅に出た時に、ネガティブな感情を伴うトラブルだけでなく(これは放っておいても記憶に残ります)、「嬉しい、楽しい、気持ちいい、誇らしい、清々しい」などのポジティブな情動体験に遭遇したら、それを繰り返し思い出し強め、情動記憶としてストックして置くことです。
そうすることで、旅はますます思い出深いものになるだけでなく、旅の思い出を未来の新しい自分を作るためにも役立てることができるでしょう。