未収録原稿【コラム】コーチングの4つのカテゴリ

『マインドの教科書』の構成の都合上掲載できなかった「コラム」と「エピソード」の原稿があります。そちらを順次掲載していきたいと思います。『マインドの教科書』と共にお読みくださればと思います。

以下に掲載するのは、その中の3つ目のコラムです。


【コラム】コーチングの4つのカテゴリ

コーチングには、コーチングをする人(コーチ/coach)とコーチングを受ける人(クライアント/Client 又は コーチイー/coachee)という2つの役割が存在します。各役割に対して、それぞれ誰が対象になるのかによって、大きく分けて次の4つのコーチングのカテゴリがあります。

1.パーソナルコーチング

1対1(コーチ対クライアント)で行われるコーチングの基本形態です。クライアントからコーチングをすることを依頼されたコーチが、クライントに対してコーチングを行います。通常、両者間でコーチング契約書を締結して行われます。

コーチの役割は、クライアントが現状の外側にゴール設定ができるようにして、その設定したゴールに対するエフィカシー(ゴールに対する達成能力の自己評価)を上げることです。

そのためにコーチはクライアントの利益100%でコーチングを行います。コーチが、コーチ自身のゴール達成のためや、自分の利益のためにコーチングを行うとコーチングは有効に機能しません。よって、コーチングは、利害関係がない第三者が行うことが望まれます。

コーチングは、ゴール設定とゴール達成に関するマインドの技術です。ここで、コーチングの流派の違いは、①ゴール設定のルールと②コーチが使うゴール達成の方法論の違いに現れます。
そのため、パーソナルコーチを選ぶ際には、まずはゴール設定のルールがどうなっているのかを確認すると良いでしょう。もし、現状の外側にゴール設定をするルールになっていないコーチングを受けると、自分を現状に縛り付け、よりスコトマが強められて可能性が制限される場合があるので注意が必要です。

2.セルフコーチング

自分がコーチとなって、クライアントである自分自身をコーチングしていく形態です。コーチングとは、コーチが自分の利益を入れないでクライアントに対して行うものなので、本来は矛盾した用語です。コーチとクライアントが同一人物の場合、必ずコーチの利益が入るからです。

そのため、セルフコーチングを行う方法論には特段の注意が必要です。安全かつ有効にセルフコーチングを行うには、実績のあるセルフコーチングプログラムなどでコーチングの知識・技術を体系だって学ぶことが必要となります。

コーチングの創始者ルー・タイスが開発したセルフコーチングのプログラムは全世界で展開され、安全性と有効性が確認されているものです。日本では、大人向けには「TPIE」、青少年向けには「PX2」というプログラムが提供されています。
本書『マインドの教科書』は、その「TPIE」をベースに、読者自身が自分をセルフコーチングできるように工夫して作成されたものです。

3.グループコーチング

コーチが複数の人を同時にコーチングしていく形態です。1対多数で行われますが、1対1のパーソナルコーチングがたくさん集まったものとしてコーチングを行います。
コーチが、マインドの上手な使い方の知識や技術を講義形式で行うものもグループコーチングの一形態ですが、双方向性の確保がパーソナルコーチングよりは難しくなります。
また、他の人が聞いている中で、1対1のコーチングセッションを順番に行う形態のものもあります。他の人のコーチングを観ることで客観的にマインドの使い方を覚えられる効用がありますが、守秘性の担保が困難なため、本音が出づらくコーチングで扱う内容に限界が生じやすくなります。

4.コーポレートコーチング

コーポレートコーチが、何かしらの同じ目的を持った組織(企業、公的組織、スポーツチームなど)に対して行うコーチングです。この場合のクライアントは組織ですので、組織のゴール設定とゴール達成のために行われます。

クライアントが組織のため、コーポレートコーチは組織のマインドに対してコーチングを行うことになります。しかしながら、組織のマインドは物理的な実態がないバーチャルな存在です。そのため、組織のマインドは、組織の各構成員のマインドに分散していると捉え、実際には組織の構成員に対してコーチングを行うことになります。

組織のゴール達成のためには、組織のエフィカシーを上げる必要があります。ここで、組織のエフィカシーを上げるためには、構成員のエフィカシーを上げていくことになります。構成員のエフィカシーを上げるには、組織のゴールと各構成員のゴールをどのように調整していくのかということが鍵となります。

コーポレートコーチングを行うコーチには、パーソナルコーチングの知識・技術に加えて、バーチャルな組織のマインドに対してコーチングを行うという高度な知識と技術が必要となります。


 

『マインドの教科書』
田島大輔著
苫米地英人監修
開拓社

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