『マインドの教科書』の構成の都合上掲載できなかった「コラム」と「エピソード」の原稿があります。そちらを順次掲載していきたいと思います。『マインドの教科書』と共にお読みくださればと思います。
以下に掲載するのは、その中8つ目のコラムです。
コラム「その梯子はどこに掛かっているのか(「effective」 と「efficient」の違い)」
元祖コーチであるルー・タイスは、自分自身に3つのルールを課しました。それは、「Authentic(自分を偽らない)」「Progressive(進歩的である)」「Effective(有効な行動を取る)」です。
ここでは、そのうちの一つである「Effective(有効な行動を取る)」について考察しましょう。
英語では、「Effective」の類語に「Efficient」というものがあります。その2つの違いについて考えることで「Effective」の意図することを理解していきたいと思います。
「Effective」は効果的、「Efficient」は効率的と訳されることがあります。
ビジネスでは、「Efficient(効率的)」であることが求められます。仕事を「Efficient(効率的)」に行うために、多くの時間とエネルギーが費やされます。「Efficient(効率的)」であることは、最小限の努力で最大限の効果を求めることを意味します。
言い換えると、「Efficient(効率的)」であることは、物事を正しく行うこと(to do things right)を意味します。例えば、梯子を昇ることであれば、いかに無駄なく素早く梯子を昇れるかが重要であるということです。
しかし、効率的であることを最重視することの問題は、その梯子がそもそもどこに掛かっているのかが無視されがちであることです。ビジネスの現場では良く起きていることです。効率化を求める人も求められる人も、どこを目指してそれを行うのかが分かっていないことが往々にしてあります。
梯子が間違ったところに掛かっていれば、効率的であればあるほど、間違った方向に進んでいってしまいます。もし、梯子が現状の延長上に掛かっていれば、ますます現状の最適化を推し進め、可能性を狭めていくことになるのです。
一方、「Effective(効果的)」であるということは、正しいことを正しく行うということ(to do right things right)です。そもそも、どこに梯子を掛けるのかが重要であるという考え方が背景にあります。
梯子を掛ける先を決めるのがゴール設定です。そして、正しく行うというのは、はじめから方法が決まっているのではなく、梯子を掛けてから、つまりゴールを設定してから、もっとも良い方法を見つけていく、創っていくということです。
ビジュアライゼーションによって、未来の自分をイメージするときも、ただ効率的にやろうとしてもダメなのです。どのゴールに対して、ビジュアライゼーションを行おうとしているのかが重要になります。
「Efficient(効率的)」であることも必要ですが、「Effective(効率的)」であることが私たちが望むものを手に入れる方法です。
『マインドの教科書』
田島大輔著
苫米地英人監修
開拓社
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